FX黎明期は価格差を利用するアービトラージが流行
FXは相対取引ということを知っておこう
こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。
FX取引が始まった1998年以降、トレーダーの皆さんは
どうやって利益を獲得するか試行錯誤していました。
前回のブログで紹介しました円キャリートレードもその1つですが、
別の手段として多くのトレーダーが
“アービトラージ”という手法を行なっておりました。
キャリートレードについてはこちらの記事でご確認ください。
“アービトラージ”の方法は簡単です。
FX業者AとFX業者Bの同じ通貨ペア、同じ時間足のレートを並べて
目視でチェックするだけです。
FXでは、業者がレートを生成しますので、業者によってレートの差が発生します。
2000年当時のFX業界は、システムが今ほど優れていなかったので
インターバンクのレートがすぐに反映されるFX業者と
すぐに反映されない業者など、レートは業者ごとに千差万別でした。
要するに、2つの会社のレートを目視するだけで
そのレートの違い分かるくらいレートの差は歴然としていたのです。
トレーダーは、数社の画面のレートを見比べ、
その差異が大きい時に売りと買いを同時に執行します。
それを1日何回、何十回と行なうといった方法です。
メジャー通貨と言われる流動性の高いドル、円、ユーロよりは
むしろポンド、豪ドル,カナダドルといった順メジャー通貨の方に
顕著な違いがみられており、トレーダーの貴重な利益獲得手段となっていました。
これは「レーテンシーアービトラージ」と言われるアービトラージの1つの手法です。
その後レートが遅いためにいつもターゲットにされる業者も
この状況をいつまでも指をくわえてみている訳にも行かず、
システム改善に投資していくことになります。
目視でも行なう事ができたレーテンシーアービトラージも
現在では千分の1秒単位ほどの世界になっており、
現在は目視で実施することはまずできません。
それでも千分の1秒単位でのアービトラージを
システム的に行なう優れたトレーダーも存在はします。
またターゲットにされるFX会社側も、監視するシステムを導入し
アービトラージを行なっているトレーダーを感知したら
勝手な理由をつけてその顧客の口座を凍結するという措置まで取っています。
ただし、これはある意味おかしい話ではあります。
業者にとって都合が悪い顧客の口座を凍結する訳ですから…
本来、業者はどんな注文であれ執行する義務があるはずです。
株式などの取引所による市場取引の世界ではまずありえない話です。
それは、FXは店頭デリバティブ、つまり“相対”で行う世界
という事を頭に入れておいてください。
つまり相対取引では相手を拒否することもあるという事です。
これがFXの不思議なところです。
なお、以前の記事で取り上げました「クリック365」は市場取引ですので
取引するトレーダーの口座を凍結するような事はありません。
クリック365についてはこちらの記事もご覧ください。
アービトラージについては次回もまた触れさせていただきます。
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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