スワップ狙いの円キャリートレードとは?
スワップポイントで年利1800%?
以前、数回に分けてFX取引の歴史について解説してました。
まだご覧になられていない方は、
こちらからご覧ください。
1998年から始まった個人のFX取引ですが、
当時そしてその後投資家はどのような取引をしていたか
説明したいと思います。
テクニカル指標を活用したチャート重視の取引や、
ファンダメンタルを考慮したスイングトレードを行なっていた
という人も多いと思いますが、様々な取引手法の中でも
当時は”円キャリートレード”を行なう人が主流でした。
では、円キャリートレードとは一体何でしょうか?
円キャリートレードとは、
低金利通貨(円)の売り持ち高(short position)、
高金利通貨(ドル、ユーロ、ポンド、豪ドル、トルコリラなど)の
買い持ち高(long position)からなる
投機的な外為持ち高の総称をいいます。
分かりやすく言うと、
FXで米ドル/円のように円でドルを買うような取引を行なえば、
日米の金利差分が毎日支払われるため、
これを狙って取引を行っていたということです。
一つの極端な例をあげます。
2005年のトルコの政策金利は約18%/年、一方日本は0%/年でした。
もしFXの取引で
トルコリラ/円を買う(円でトルコリラ通貨を買う)ような取引をした場合、
18%-0% = 18%
の利息(FXではスワップポイントと言います)が手に入ることになります。
そしてFX取引では”レバレッジ”をかける事ができます。
2005年当時の日本では、個人でもレバレッジ100倍にすることは
普通に認められていました。
仮に18%の金利に対して100倍のレバレッジをかけた場合、
18%×100倍 = 1800%年
の金利が入ることになります。
年間1800% = 18倍です。
そして当時の投資家の皆さんの7割以上の方々が
スワップポイント(=金利)を目的とした取引を行なっていました。
そのため、トルコリラ/円を提供しているFX業者に殺到し、
多くの口座が開設されていました。
もし円安に向かう事で売買利益を獲得したら…
とさらに大きな妄想に走ってしまうような状況でもありました。
当然ながら、金利差益以上に円高になれば、損失が生じます。
そして実際、2004年以降の円安局面で内外で円キャリートレードの持ち高が拡大し、
円安要因(=円がいつか売られる状況)として注目されるようになりました。
一般に円キャリートレードは、世界の中で
「日本円が長期間にわたって低金利の水準にある」
という状態を利用して行われており、その取引の主な担い手は、
国内外のファンドや金融機関、個人投資家などでした。
しかし、この円キャリートレードについても
残念ながら多くのリスクや問題点があります。
この点について次回深くお話ししたいと思います。
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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