米国金利とドル円を観察することで見えてくる事実
米国金利が変わるとどうなるのか?
いつものことかもしれませんが、今回は少し硬い話題かもしれません。
とはいえ、今回の内容を知る事で、今後の資産運用に役立つはずなので
気を張らずに読み進めてくださいね(笑)
今回は、2019年7月にあったパウエルFRB議長の議会証言を例に、
どのような考察をしていくのかということをお伝えしたいと思います。
(7月10日下院金融サービス委員会/7月11日 上院銀行委員会)
1週間前の5日に、金融政策報告書が公開されているのですが、
今回の議会証言がこの内容を超えるものではないと考えられます。
ですので、議会で「金利を下げるのか?」という質問があったとして、
「常に適当と考える行動をとる」、というように無難な回答で終わりでしょう。
とすると、おそらく
市場(特に米株式)が勝手に利下げを期待して、上がってきた経緯がありますが、
その期待は崩れることになります。
さて、米国金利が変わるとどうなるでしょうか?
例えば、いままでのように金利が下落してゆくと、米金利に魅力がなくなります。
米金利に魅力がなくなると、資金は債券から米株式に移ってゆきます。
また、米金利に魅力がなくなると、米ドルにも魅力がなくなり、他国に移ってゆきます。
特に円は、退避先として格好の場所といえます。
その結果、どうなるかというと、ドル円レートに変化が現れます。
それが分かるのが以下のグラフです。
↑のグラフは、今年のドル円レートの推移を、米金利と合わせてみたものです。
4月以降は結構密接に関係している感じがありますね。
それではさらに、4月以降をいくつかに分割して、より具体的な関係をみていきましょう。
4月1日~5月20日の推移
4月1日~5月20日の期間は米金利が低下する程、
円高に傾いていくことがよくわかります。
図中に数式を入れていますが、ドル円レートを「Y」、米金利を「X%」とすると、
「Y=12.4X +80」という関係になっていました。
5月21~6月22日の推移
この期間も、米金利が低下する程、円高になっていますが、
先の期間と比べれば傾きが少しゆるやかになっています。
(つまり、4~5月のように、急な円高にはなっていない)
「Y=6.32X+95」と、傾きも半減しました。
6月22日以降の推移
6月22日以降は米金利が変化しても、
あまりドル円レートとは関係なくなってきているようにみえます。
少なからず関係が残っているにしても、傾きはこれまでよりもよりいっそう緩やか。
「Y=3.29X + 101.29」となっていて、
かなり平坦な傾きになっていることがわかるかと思います。
101.29というy切片は、米金利が仮に0になったとしたら、
ドル円レートは101.29円になるという簡単な推計です。
このデータだけで見る限りは、
『101.29円を超える円高になることはまずない』とも言えます。
この状態が、当時の状況です。
以上のことから、議会証言後に米金利が低下するとしても、
ドル円はこれ以上円高にはなりづらいということが言えます。
もし仮に、円高になるにしても、これまでのように金利に反応して
一気に円高になるのではなく、変動は僅かな程度になるであろう、
ということが予測できるわけです。
さらに分析を深める事もできますが、かなり長くなってしまいますので、
今回はこれまでにして、続きはまたの機会に掘り下げていきたいと思います。
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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