それでも日銀は回っている
歴史的な安値をPBRから検証
こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。
ガリレオが、地動説を唱えた時、
宗教裁判で罪を問われ、説をしぶしぶ取り下げた時に
「それでも地球は回っている」
とつぶやいたそうです。
今回は、それを日銀にたとえてみました。
”砂漠に水をまくようなものだ”
という慣用句があります。
問題があまりに巨大なので、少しばかりの小手先では解決できない、
もしくは気の遠くなる時間がかかる、というたとえです。
しかし、エジプトなどでは、砂漠を区切り、
その一区画に川から水をひいて圧倒的な水量を流すことで
緑化に成功しています。
やりかた次第では、うまくいくともいえます。
”FRBに逆らうな”
とは、FRBという中央銀行が行う’国策’には逆らうな
ということのたとえですが、
日本だと
”日銀に逆らうな”
ということになりましょう。
現在、世界の中央銀行が団結して、株価対策をしています。
その方針に逆らう動きは結局負ける、ということです。
ここ最近、世界の中央銀行がコロナ対策で
金融政策をビシバシ打ち出していますが、
市場の反応は、下落で答えているようです。
しかし、結局は、圧倒的な金(カネ)の量をもとに、
中央銀行が中央突破をするのだと思うのです。
砂漠でも緑化に成功するように。
日本について考えてみましょう。
日銀は、日本最大の株主です。
ETFと呼ばれる、日経平均やTOPIXあるいは、JPX400という
いわゆる市場の動きを表す株価指数と全く同じ動きをする投資信託を、
今年は予算を12兆円に倍増させて東証で買い付けています。
よく誤解されるのですが、日銀は東証の会員ではないので、
直接市場に買い付けはできません。
証券会社や、主に信託銀行を介して注文しています。
現時点で日銀のETF保有額はだいたい30兆円です。
相場は、3月17日(火)に、日経平均は16,378円まで下がりました。
この瞬間、PBRは0.79になり、PBRベースでは戦後の最安値を記録しました。
(PBRは、日経平均採用銘柄の225社を今解散するといくらになるか
という”解散価値”と言い換えてよいでしょう)
実際には、その後上昇しましたが、
もし、日経平均がこの価格で引けた場合、
日銀のETFによる評価損失は、巨額になります。
厳密な計算ではありませんが、概算で5兆1千億円の評価損となります。
日銀の会計ルールでは、ETFの時価が簿価を下回ると、
その差額を引当金として計上します。
単純化すると、5.1兆円のお金を、利益をつぶして埋める必要があるのです。
これは自己資本を食いつぶすことになります。
日銀の自己資本はたかだか8兆円台ですので、つらいのです。
株価が下がって困るのは日銀とて一緒、というわけです。
日銀としては、必死に19,500円までは戻しておかないといけない。
つまり、当面の課題は、19,500円の死守にあるということになりますね。
国策として、これを行うと思います。
それでも日銀は回っている。
国策には逆らうな、つまり、
株価は必ず、上がります。
ということですね。
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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