分散投資の優位性を示すのは投資理論の究極のテーマ

 

 

資産を守るためのアセットアロケーション

 

こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。

 

2月最後の1週間の相場は、
2月21日から 恐怖指数(シカゴVIX)14.6から48.7まで急上昇し、
株式相場が世界的に荒れました。

 

 

2月20日から2月末日まで、

 

米株式(SP500)12.4% 下落
TOPIX9.7%下落

 

となりました。

 

一方で
金(gold)3.3%下落 で済んでいます。

 

さらに、上昇した資産もあります
米国債3.35% 上昇
ドル円相場3.6%の下落(=円の3.6%の上昇)

 

 

株は世界中で大きく下げたが、
金の国際価格はそれほど下落しておらず、
米国債と円は価値を上げた

 

という状況になりました。

 

 

さて、もはや一般的になった単語ですが、

 

「ポートフォリオ」

 

という言葉があります。

 

語源は、書類入れ、紙ばさみです。

 

つまり、ひとまとめになった書類が書類入れに入っている、
ということを指します。

 

 

資産の明細書がひとまとまりになったもの、という語源から、
投資の世界では、金融商品を組み合わせたもの、
という意味として使っています。

 

 

似た意味の単語で、

 

「アセットアロケーション」

 

という言葉もあります。

 

アセットアロケーションは、
株式、不動産、債券、金(gold)、、、、といった資産に対し、
どれだけの割合を投資すべきかを決めるものです。

 

 

意思決定の手順はこのようになります。

 

アセットアロケーション → ポートフォリオ

 

 

アセットアロケーションも、ポートフォリオも、
投資理論の主要なテーマですが、
これを一言でまとめると、分散投資です。

 

分散投資の優位性を示すのが現代投資理論の基本テーマ、なのです。

 

今回は、もう少し、分散投資を掘り下げてみようと思います。

 

 

直感的にわかりやすい例として、株式の銘柄分散を考えてみます。

 

一般的には、ひとつの銘柄だけではなく、
銘柄数を分散させることになるでしょう。

 

また、同一銘柄でも、買う時期を分散させることで、
分散効果があります。

 

 

こうした分散投資では、
リスクが分散されるのが、最大のメリットです。

 

 

たとえば、日産自動車の株だけを保有する場合、

 

1. 日本株が下がると日産の株式も下がる
2. 自動車業界の株が下がると日産の株式も下がる

 

という市場リスクに加えて、

 

3. 日産独自の固有の理由で問題が起こると、日産の株も下がる

 

 

という固有リスクも抱える事になります。

 

 

これに対し、日産に加えて、トヨタの株を所有する場合、

 

1,2に関しては、やはり、トヨタも下がるので,分散効果が少ないが、

 

3に関しては、トヨタを持つことで日産の下げをカバーできる

 

ことになります。

 

 

トヨタではなく、三菱商事の株にすると、

 

1,2,3,全ての要素で日産をカバーできるので、
より分散効果が上がります。

 

 

では、トヨタも加え、三菱商事を加え、、
あれも、これも、、、と
どんどん会社の数を加えていくと、どうなるでしょうか?

 

 

所有株式の値動きを合計すると、
TOPIXといわれる指数に動きがどんどん近づきます。

 

TOPIXは、東証1部の全銘柄の時価総額の合計を指数化したものです。

 

したがって、TOPIXの指数を売買することが、
最も日本株を効率よく売買する事になります。

 

 

しかし、先週の株安の状況では、
結局、どんなに株式の分散投資を行っても、
株式市場全体が下がる局面ではあまり役に立たないということになります。

 

要するに、株式の分散投資をいかにうまく行ったところで、

 

株式自体が全部下がるのだから、株式に投資する事が失敗の原因なのである

 

ということですね。

 

 

先ほどの例でいうと、ポートフォリオの前段階である
アセットアロケーションで戦略を失敗すると
意味がないということになります。

 

 

機関投資家の多くがポートフォリオに債券を組み入れているのは、
株式の損をあるい程度カバーできるからなんですね。

 

 

このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。

 

では、また次回をお楽しみに!

 

 

マーケットの魔術師 奥村尚