ブレグジットが完了、英国EU離脱後も波乱が予想される

 

 

ブレグジット後のEUとの関係は?

 

こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。

 

2020年、1月31日

 

イギリス(英国)が、EUから離脱しました。

 

そして、2016年の国民投票が意思表示した通り、
ブレグジット(Brexit)が完了したことになります。

 

ブレグジットとは、

 

Brit(ain)(英国)+ exit(退出・離脱)

 

を組み合わせて作られた造語(カバン語)です。

 

先の2012年、債務危機に陥ったギリシアがEUを離脱する可能性が示唆され、
これがグレグジット(Grexit)と表現されました。

 

ブレグジットはこれをもじった言葉と言えるでしょう。

 

 

さて、「離脱」といっても実際には、
離脱した後も、混乱を避けるために現状維持が続いており、
EUとの新しい関係を協議している最中です。

 

EU離脱による英国の抱える問題は法律や貿易、
金融や人の移動など多岐にわたっており、
これらを全て解決するには困難を極めるでしょう。

 

その他にも、英国抱える問題は山積みです。

 

 

具体的にどういった問題があるか?

 

歴史をおさらいしながら、列挙してみます。

 

まずは、「自国の分裂問題」

 

 

EUは、1951年に発足した欧州石炭鉄鋼共同体がそのルーツです。

 

原加盟国はフランス、イタリア、ベルギー、オランダ、
ルクセンブルク、西ドイツ
6カ国でした。

 

 

その後、1957年

 

参加国間で欧州経済共同体(EEC)、および欧州原子力共同体の設立が決まりました。

 

英国は、EECに対抗して、EECに加盟していない6カ国
(オーストリア、スェーデン、デンマーク、スイス、ノルウェー、ポルトガル)
を誘い、自国を入れた7カ国で別の連合体を作ります。

 

これが、EFTA(European Free Trade Association)です。

 

 

この頃からのポンドレートを、長い時系列でみてみましょう。

 

 

 

上記の画像は、1971年当時からのポンドレート時系列です。

 

1971年といえば、[1ドル=360円]で固定レートだった時代です。

 

同じ期間のドル円レートと合わせてみてみましょう。
(時間軸はポンドと揃えています)

 

 

 

紆余曲折あったものの、1973年
ようやく英国はデンマークと共にECに加盟しました。

 

「イギリスが47年ぶりにEUから脱退」

 

とニュースで報道されているのは、
EUの前身であったECに加盟したのが1973年だったからなのですね。

 

 

なお、ECに加盟するため、英国はEFTAから脱退しています。

 

ちなみに、EFTAは実はまだ存在しています

 

EFTA加盟国アイスランド、スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン

 

そして、この4カ国は、EUに加盟していません。

 

 

アイスランドとリヒテンシュタインは
欧州の他諸国とは独自の道を歩んでおり、
そもそも運命共同体に興味がないのです。

 

スイスとノルウェーは、国民投票でEU加盟を拒否しています。

 

 

さて、ブレグジット後の英国は
まず“自国の分裂”を避ける必要があります。

 

 

主だった懸念点は、

 

北アイルランドが母国アイルランドと統合し、
もとのアイルランドに戻ること…

 

そして、スコットランドが英国から独立すること…

 

 

北アイルランドには、特別に目立った産業もなく、
アイルランドと統合する経済的なメリットは正直ありません。

 

とはいえ、もともと、『1つの国』でしたから、
「もとに戻る」という動機は十分と言えるでしょう。

 

 

しかし、スコットランドは、領土に北海油田があります。

 

2014年のスコットランド独立のための住民投票では、
この油田の財源をアテにしたスコットランド独立賛成派が
結局、EUから抜ける事になるという英国残留派との議論に負けて、
最終的には、独立案は否決されました。

 

 

現実的に、2020年代には北海油田は枯渇し、
生産がストップすると予想されています。

 

北海油田は海の上にありますから、巨額の資金がかかりますね。

 

海流の激しい深海に設置された、巨大な設備を
北海油田全体では、500億ドルかかるようです。

 

環境問題、法的な問題、安全確保に加え、
これだけの巨額の予算をどう工面することができるか?

 

世界が注目しています。

 

 

そして、EU以外との関係も重要です。

 

なにしろ、英国の貿易の半分を占める相手はEUです。

 

良い条件で、尚且ついままでの関係を継続できるよう、
ここは絶対にまとめあげなければいけないでしょう。

 

 

EUの中で発言力のある国は、フランスドイツです。

 

英国は、かつて、フランスが反対したという理由で、
ECに入ることができませんでした。

 

EUとあらたに関係を締結する以上、
今回もフランスの妨害にあうことは容易に想像できます。

 

少なくとも、今年中に全てまとめあげるのは、かなり困難でしょう。

 

 

しかし、「EUと似たようなところ」に加盟すれば
かなり代替することができます。

 

TPPです。

 

 

2018年安倍首相は、ジョンソン首相に

 

「EUに変わる自由貿易市場として、
 環太平洋連携協定(TPP)への参加を心から歓迎する」

 

と英国新聞のインタビューで述べています。

 

 

当然、TPPであれば、フランスのように妨害する国はありませんから
英国はすんなり加盟することができそうです。

 

しかも、TPPは、大英帝国時代の領土が
しっかり入り込んでいますし、全て「友好国」です。

(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、カナダ.etc)

 

 

私自身の個人的な見解としては、

 

英国の代わりに日本がEUに加盟すると面白いではないか

 

と思っています。

 

どちらにしても、今後の英国(イギリス)動向には
注目しておきたいところです。

 

 

このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。

 

では、また次回をお楽しみに!

 

 

マーケットの魔術師 奥村尚