金融先物取引法の改正で健全化したFX業界

 

 

2005年の金融先物取引法の改正

 

こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。

 

前回の記事で、FX1998年外為法改正により始まり、
それに伴い、誰でも自由にFX業が営むことが出来ることになったため
悪徳業者が横行していき、社会問題になってしまった
ということをお伝えしました。

 

こうした悪徳業者が横行している状態を重く見た当局が
金融先物取引法を改正し、悪徳業者を撃退することに成功しました。

 

それが2005年でした。

 

 

前回の記事をご覧になられてない場合は、
こちらから御覧ください。

 

悪徳業者がはびこっていた初期のFX業界

 

 

ここで2005年の法改正によって、
具体的に何が変わったのか(導入されたのか)を見てみます。

 

大きな項目は以下の4点です。

 

1.FX業を行うには当局による審査登録が必要に
2.不招請勧誘の禁止
3.顧客資産の区分管理
4.適合性の原則

 

 

それぞれ、簡単に説明していきます。

 

 

1.新たにFX業を行う為には当局による審査登録が必要となりました。

 

審査があるということは、資本や人的構成が
しっかりしていなければなりませんので、
きちんと整っている会社以外は、
新たに参入することができなくなりました。

 

・人的構成では、代表取締役、役員、及び重要な使用人のなかに
 金融業務のコンプライアンス経験者を配置しなれればならない。
 それも3年以上の経験が必要となります。
 銀行や証券会社に3年以上勤めていただけでは条件を満たしません。
 法務部門の経験年数が問われます。

 

・資本面では、純資産が5000万円以上、また自己資本規制比率等の
 金融機関に対して経営の健全性と投資家保護のための一定基準が設けられ、
 この基準を下回ったまま経営を継続することはできなくなりました。
 つまり会社資本がしっかりしていない会社は、
 FX業を営むことができないことになります。

 

 

2.不招請勧誘の禁止

 

顧客の依頼や同意を得ないで勧誘行為をすることをいいます。

 

したがって、
「不招請勧誘の禁止」とは顧客が同意してないのに、
もしくは「いらない」と言っているのに
勧誘してはならない事になります。

 

もっと簡単にいうと
「顧客が望んでいないのに、無理に勧めてはいけない」
ということです。

 

最初は興味があって話を聞いていも「もういらないな」と思って、
お客様から、以降の勧誘行為をしないように要請すると、
会社側は、以後の勧誘は一切できなくなりました。

 

口八丁手八丁で顧客を勧誘していた悪徳業者はひとたまりもありません。
営業手段がなくなることになりました。

 

 

3.顧客資産の区分管理

 

”お客様の資産”と”会社の資産”は、明確に分離して
管理しなければならなくなりました。

 

「お客様の資産はお客様のもの」という当たり前のことなのですが、
お客様の資産を、普通に会社の経費として使っていた悪徳業者にとっては
大きな打撃となりました。

 

 

4.適合性の原則

 

金融商品取引業者は、顧客の経験、財産の状況及び
金融商品取引契約を締結する目的に照らし、
不適当と認められる勧誘を行ってはならないとする原則です。

 

簡単に言うと、お客様がFXをするための
知識も経験も資産もないようだったら、
そもそも営業をすることができないということです。

 

これにより悪徳業者が知識も経験もない高齢者などに
FXのような変動商品は勧誘できなくなりました。

 

 

 

こうした金融先物取引法の改正によって、
悪徳業者が姿を消していくことになりました。

 

 

悪徳FX業者の撲滅。

 

これがFX業界の発展の第1歩でした。

 

 

ただし、2005年までの間でも悪徳業者ばかりだった訳ではありません。

 

健全な業者が業界の発展のために試行錯誤していた時期でもあり、
また、市場取引ではないFX取引ならではの問題点と
葛藤している時期でもありました。

 

 

次回はそういったFX初期段階での各社の取り組み、
進化の過程の問題点をお話ししたいと思います。

 

 

 

このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。

 

では、また次回をお楽しみに!

 

 

マーケットの魔術師 奥村尚