市場が示唆するものを知る方法

 

 

impliedの意味を知っていますか?

 

こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。

 

ファイナンスの世界では、“implied”という言葉があります。

 

これは、僕の大好きな単語です。

 

 

impliedは、日本語に訳した途端、
本質の意味とは「異なる意味」になる可能性の高い単語でもあります。

 

ちなみに、日本語では
「空気を読む(今なら流行語の忖度か?)」
という意味になりますが、

 

英語の文章的にはこうした場合、たぶん

 

read between the line(言外の意味を読む)

 

といった言い方でしょうか。

 

また、
unspoken rule とか、
bro(girl) code なども、
暗黙の… と訳されます。

 

 

こうして日本語の訳から類義語を探していくと、
impliedの持つ、本質の意味とは、どんどん離れていく感が否めません。

 

 

「暗示する」という訳では、
時に“silent”という単語も用いますが、
相場のフロントにいる僕としては
これも静的すぎてちょっと違う。。という感じがします。

 

やはり、相場には
impliedという単語が最もしっくりきます。

 

というのも、impliedというのは、
暗に「示唆する」という意味合いを強く持っているからです。

 

「債券相場が暗に示唆する為替レートはxx」

 

とか表現するとわかりやすいでしょうか。

 

 

しかし、本来、債券市場は為替市場に
圧倒的にインパクトを与えますので、

 

この例えでは、「示唆する間接性」というよりは
より直接的な影響になるので、
暗に… という意味は含まれないわけです。

 

 

ここが少し難しいのですが…

 

相場では、もっとインダイレクトな事柄にimpliedを使います。

 

 

例えば、こんな例では、「示唆する」という意味がぴったりです。

 

 

英国の公認賭け屋*(bookmaker,bookie.)では、
一定の参加者が考え、金をかけて正しいことを主張し、
そして、ギャンブル的要素を“楽しむ仕組み”をつかさどっています。

 

*英国では賭けは合法で外国人も(もちろん日本人も)
参加する権利がある=ブッキングに参加できます。
広く参加者を募ることで、市場が形成され、オープンで公平な取引が出きます。
これは東証と似ています。ついでに書くと、「その時のオッズで確定して買う指値(Fixed-odds betting)」と
投票だけしておき、オッズは締め切り時の「今はまだわからないオッズで買う成行(Starting price)」の
2つの賭け方があります。これも株と似てますね。

 

 

ロンドンでは、最大手William Hillや
Ladbrokersといったブックメーカーは、
店舗は探さなくても自然に目に入ってくる…

 

日本でいえば「宝くじ売り場」のような存在です。

 

 

よく例に出されるのは、
オリンピックで金メダルを取る選手は誰か?という賭けです。

 

 

オッズが出ていると、確率が計算できます。

 

ある事象が起こる確率を P とすると、
P が起こらない確率は「1-P」になります。

 

その事象のオッズはこの2つの値の比
P/(1-P) として計算できます。

 

Odds = P/(1-P)

 

P=Odd/(1+Odds)

 

ここで求めた P こそ、「市場が示唆する確率」です。

 

オッズ1.0で確率50%..
オッズ4.0で確率20%..
オッズ8.0で確率11%..

 

と計算できます。

 

 

オッズ8.00(確率11%)で1ポンドをかけておくと、
これが当たった場合、掛け金1に加えて、
「1/0.11≒9 ポンド」を受け取ることができます。

 

1 かけると、10 戻ってくることになります。

 

8:1 とか、8/1 という表記をする賭け屋もいます。

 

英国競馬でも同様の表記で賭けをおこなっています。

 

 

このような『市場が示唆する原理』を利用して、
オプション取引の価格(プレミアムといいます)を使って、

 

“市場が示唆する価格変動率(インプライド・ボラティリティ)”

 

を求め、
その大きさを、「リスク指標にする手法」は、
シカゴ市場の恐怖指数(VIX指数)として、あまりに有名ですね。

 

次の記事では、VIXに関する話を掘り下げたいと思いますので
お楽しみに。

 

 

このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。

 

では、また次回をお楽しみに!

 

 

マーケットの魔術師 奥村尚