市場リターンの正規分布(ガウス分布)は何を示唆するのか?
個人投資家でも市場リターンを検証する方法
こんにちは、マーケットの魔術師こと、奥村尚です。
今回も前回に引き続き少しだけ、難しい内容になるかもしれません。
毎度のことですが、それでも必ず役に立つ情報なので最後まで目を通してくださいね。
いきなりですが、株式市場の基本特性を考えてみましょう。
半年~数年のように、株を中長期の期間で持つ人の場合、
その期間内で株価が増える期待をして株を買います。
当然ですがこの場合、数ヶ月単位での株価の挙動が重要になってきます。
ですから、1日単位で株価が下がったとしても、そこまで気にする人はいないはずです。
もしもあなたが株価を見て、一時的に下がっているとしても、
そんな事は気にしてはいけません。
(もちろん、あまり気分は良くないと思いますが…)
一方で、デイトレーダーの場合ですと、本日買い、本日中に決済するわけですから、
数カ月後、数年後にその株価が上がっていようが下がっていようが、
その会社の利益がどうだろうが、利益成長がどうだろうが全く関係ありません。
デイトレーダーにとっては、本日の中で少しでも安く買い、少しでも上がってたら売る。
それさえできればよいわけです。
さて、問題はここからです。
デイトレで運用する場合、短期の株価の挙動(例えば10分単位)が重要になります。
極端な例ですが、10分単位で、「買う」「売る」を機械的に繰り返すと、
その株式のトレードで、利益はどうなるでしょうか?
10分前の引け値で買い、10分経過後の引け値で売る。
そして、その引け値でまた買い、もう10分経過後にまた引け値で売る…
(この繰り返し)。
機械的に10分おきに売買を繰り返すわけですから、
単純計算で1時間に6回の売買が出来ます。
さらに1日では、その何倍もの売買ができることになります。
これを繰り返す戦略に優位性があるかどうかを検証するためには、
単純に10分足データを用いて、1年間程度の期間、検証することで、
リターンのシミュレーションを行うことができます。
しかし、市場でついた、その株式の全ての価格データから10分足を作るのは
かなり骨の折れる作業ですし、そもそも、そういった価格情報は、
東証の会員しかもっていないでしょう
(証券会社、およびクィックやロイターなどの情報ベンダー)。
というか、東証を除けば、全ての価格情報を保存している法人は、
大手証券会社のみと言っていいでしょう。
しかし、簡易的に、1日単位でそれを行うというのであれば、
個人投資家でも検証することができます。
ある日の寄付きで買い、翌日の寄付きで売る…
あるいは、ある日の引け値で買い、翌日の引け値で売る。
これで、1日の市場リターンが計算できますね。
「リターン=(買値-売値)/ 買値」です。
日経平均を株式に見立て、毎日引け値で売買した場合
特定の会社ではなく、日経平均を株式に見立てて、毎日引け値で売買を行った場合、
リターンの分布はどうなるでしょうか?
戦後全営業日(1946.5.16から2019.7.12までの19,140営業日)から
毎日リターンを計算、日次リターンをチャートで示してみました。
ちなみに、
・最低リターン = -14.9% (1987/10/20)
・最高リターン = +14.15% (2008/10/14)
でした。
これを利用すると、かなりいろいろな事が分析できます。
このリターンの分布をみておきましょう。
リターンを0.1%刻みで頻度を数え、それをバーグラフにしたものです。
(度数分布とか、ヒストグラムなどともいわれます)
横軸は1日単位のリターン。
縦軸は、その頻度です。
「頻度 = そのリターンの達成回数」ということです。
ですが、上記のグラフでは、真ん中だけぴょこんと盛り上げっていて、
よくわかりません。
そこで、真ん中だけを拡大してみてみたいと思います。
平均値、もしくは中心値に集積するデータの形になっています。
正規分布(ガウス分布)といいますが、この形は、見たことがある人が多いと思います。
中心部を拡大した図は、ほぼ完全な正規分布のカーブになっています。
ここで、宿題を提起します。
1.今、日経平均は、21685.9円(7月12日終値)です。
翌営業日(7月16日)の日経平均の終値を信頼区間68%で予想しなさい。
なお、過去の日経平均日次リターンの標準偏差は、0.1161325
日次リターンの平均は0.0003190である(パーセントではない)。
2.日経平均は、2107年10月2日から、2017年10月24日まで、16連騰をしました。
16連騰が起きる確率を計算しなさい。
なお、日経平均は、
過去日次リターンで、正の頻度は 10135回、
負もしくは0のリターンの頻度は 9005回でした。
算数が得意な方は、解いてみてください。
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マーケットの魔術師 奥村尚
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