人工知能で株式の価格変動を予想できるか?
ゲームに勝つのと、株の予想は違う
こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。
ここ4、5年で、「人工知能」という言葉が、
一般的になってきたように思います。
当初はチェスでスタートしたコンピュータ対人間の対局。
そこから囲碁や将棋に広がり、小学生レベルだった対局能力も
徐々にプロ棋士にも勝てる人工知能も登場してきました。
コンピュータは、
『ルールが明確なものを正確に処理する』
ことが得意です。
特に近年は、深層学習(ディープラーニング)という技術が進化し
ルールや、そのルールの事例(対局の詳細)を学習する効率が
飛躍的に拡大しました。
過去の膨大な対局データ(ビッグデータ)を全て記憶し、
“それ”を知識として使うことで、チェス、将棋、囲碁の世界でプロと同等になった、
ということになります。
しかし、金融ではどうでしょうか?
金融の分野においても
「人工知能を使った〇〇〇」
といったサービスをよく見かけるようになりました。
例えば、
・性別
・年齢
・年収
・家族構成
を入力すると、あなたにふさわしい保険商品がわかる、
というサービスがあります。
いったい、これのどこが人工知能なのか不明ですね。
こうしたサービスは、人工知能とは無関係であり
単なる「コンピュータの機械処理」で担っているのです。
次に、株の予想はどうでしょう。
株のルールは単純明快です。
需要(買数)が供給(売数)を上回れば上がる。
逆に、需要(買数)が供給(売数)を下回れば下がる。
人工知能へ、「ルールの事例」、「過去の膨大な期間」、
「詳細な株価推移」を学習させることで可能です。
では、それを使って予想を的中できるでしょうか?
株の予想と、チェスや将棋と違うのはここです。
チェスなどのボードゲームの場合、ルールは不変です。
極端に言えば、100年前の対局データでも
現在の大局に、そのデータを生かすことができます。
株式の場合、ルールこそ昔と今で同じですが、
『前提条件』が変わっています。
もっとわかりやすく言えば、市場が変ったのです。
東証と大証が合併、取引時間もかわりました。
市場参加者も変わりました。
昔は、機関投資家が圧倒的な比率で売買していましたが、
今は個人投資家や外国人の比率が膨らんできています。
そのため、需要と供給も、昔と現在とでは異なります。
上場企業も変わりました。
1980年時価総額top10をみると、「1位NTT(21兆円)」で
2位から12位までの9社は、銀行証券。
その他も、重厚長大な会社が目立ちます。
対して、今は1位トヨタ(22兆円、1989年は7兆円)を筆頭に、
NTT、ドコモ、MUFG、ソフトバンク…と続きます。
IT企業比率が高くなっているのです。
為替相場もかわりました。
固定相場は終焉を迎え、変動相場になっています。
このような様々な変化を考慮した場合、
株データと人工知能(だけ)で“株式の価格変動”を予想するのは、
無理があるようです。
つまり、株の予想は、チェスに勝つのとは
ワケが違うということになるわけですね。
だから、おもしろい、とも思います。
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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