意外と知らない日本銀行(日銀)の役割とは?

 

 

日本銀行(日銀)は実は上場していた

 

こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。

 

 

Bank of Japan,つまり日本銀行(日銀)ですが、
日銀のホームページをまめに見る人は、そう多くはないと思います。

 

少し難しい資料がおおいですが、いろいろ経済や相場に参考になるものが
多々ホームページで発表されています。

 

日本銀行

 

 

この会社、なんと、上場しています(会社コード8301)。

 

資本金は1億円です。政府からの出資金は、5500万円です。
時価総額 33,000百万円。 330億円の価値がある会社です。

 

近年の推移をみてみましょう。

 

分かりやすいように、日経平均、三菱UFGグループ、日銀の3銘柄の
相対グラフとしました。

 

 

 

日銀の株価が2017年以来、ついていませんね。

 

日銀は、特殊な会社なので、法律によって株主には経営参加権が認められていません

 

配当年最大5%以内に制限されています。

 

残余財産の分配請求権払込資本金以下とされています。

 

投資対象としては面白みに欠ける銘柄ですね。だから、誰も投資しないのです。

 

 

日銀の役割ですが、目的は日本銀行法で定められています。

 

「我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、
通貨及び金融の調節を行うこと」

 

および

 

「銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、
もって信用秩序の維持に資すること」

 

です。

 

 

銀行券を発行するとありますが、要するに紙幣の事です。

 

では、通貨、金融の調整、とは何でしょうか?
信用秩序の維持とは、何をするのでしょうか?

 

 

 

日本銀行(日銀)の最も重要な役割は信頼担保

 

資本主義というのは、基本は、自由主義であり制約がありません。

 

民間企業は、どの業界でも原則自由に活用できる。
これは、銀行業界もしかりです。

 

それぞれが自由にやっていると、なんだかしっくりこなくなって、
秩序がおかしくなることがあります。

 

金融業界だと、金融不安をもたらします。

 

いったん金融不安が発生すると、銀行への信用がなくなり、
結果として、銀行が信用をもとに融資を継続することができなくなったりします。

 

 

1929年の世界恐慌は教科書で誰でも習う有名な金融の修羅場です。

 

近年でも、2008年のリーマンショック2013年のギリシア危機も世界の修羅場でした。

 

日本でも、1990年代後半のバブル経済が一気にしぼんだ時、
1998年の拓銀経営破たん、山一證券廃業など相次ぎました。

 

 

金融恐慌とは、一体どのようなことなのでしょうか?

 

「金融恐慌」になると、社会不安という状況になっていて、
もはや、金融システムへの不安が顕在化します。

 

 

 

銀行への不振も煽られているので、口座に入っているお金は、
現金にして手元におきたくなります。

 

銀行への預貯金の解約が殺到するため、銀行の現金が不足する騒ぎになります。

 

通常、ある銀行で解約などが殺到した場合、その銀行の現金が足りなくなると、
短期の銀行間取引によって融通し合うことで現金調達が行われるのですが、
銀行間市場の規模も突然しぼみ始めます。

 

銀行も、自分自身が危ういので、とても貸し出しに応じることはできなくなります。

 

 

ひとたび金融システムへの不安が煽られると、お金は資本市場から引いてゆきます。

 

皆が現金を手元に置いておきたいので、株も債券も売られます。

 

とても株式や債券への投資をする気分にならないのです。
そうすると、株式も債券も、買い手がいなくなります。

 

株価は暴落し、債券も暴落します。
債券の下落=金利上昇なので、金利に見合った形で物価も上昇します。

 

 

こうして、証券会社や銀行が経営破たんに陥ります。

 

貸しはがしに合う多くの企業も倒産しはじめる。

 

どこか1社が破たんすると、取引関係にある会社は、仮に優良企業としても、
お金のやりくりができなくなり、連鎖倒産する。

 

これが恐慌です。

 

 

 

恐ろしい事ですね。

 

こうした危機を未然に防ぐ、あるいは、
危機の初期段階で食い止めることがなにより重要です。

 

それには、国家の信用を背景にした金融政策で
金融システムの信用維持をする必要があるんですね。

 

 

そんなとき、金融政策の担い手として、必ず必要になるのが、中央銀行です。

 

では、中央銀行は、どのようにして、信用を回復するのでしょうか?

 

 

それは、市場が求めるだけのお金を、十分に供給するという対策を講じます。

 

つまり、金融機関には、無制限で融資を行います。

 

 

お金は経済の血ですから、必要なだけ流れるように、十分な血を準備し、
じゃんじゃん輸血する、という事ですね。

 

 

実際、昭和40年(1965年)の証券不況の時、
新聞で山一證券の経営危機が報じられた時は、このようでした。

 

朝から解約の客が窓口に殺到し大騒ぎとなったのですが、
翌週、日銀は山一に対し無制限、無担保での資金を準備し、
実際の融資はメガバンクが担当する事を発表(日銀特融)したのです。

 

そのおかげで、何とかこの危機を乗り越えることができました。

 

 

日銀は、証券不況を乗り切るために、必要なだけの紙幣をじゃんじゃん刷り、
必要なだけ、金融機関に貸し付けることで、経済の安定を取り戻した
ということになります。

 

まさに、通貨の発行をもとに、金融の調整を行い、信用秩序の維持を図ったという事です。

 

これが、中央銀行の仕事なんですね。

 

 

こんな恐慌は、何十年に1回しか起こりません。

 

がしかし、不況恐慌のミニュチュアですので、対策は似たようなものです。

 

 

資金規模緊急性が違うだけですね。

 

こうして、日々、不況対策を日銀が金融調整を通して行っている
ということになります。

 

これに関しては、またあらためて述べたいと思います。

 

 

このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。

 

では、また次回をお楽しみに!

 

 

マーケットの魔術師 奥村尚