FXやるなら日経平均株価を見るな
世界の1日のFX取引量ってどのくらい?
こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。
今回はFXトレードを行われている方に向けて、
知っておくと得する情報をお伝えしたいと思います。
ドル円、ポンド円、ユーロ円。
FX取引をやる人は、この中のいずれかを中心に据えていると思います。
下記のグラフは通貨ペア別の1日の取引量をグラフにしたものです。
まずはこのグラフを見てみてください。
ドル円は、ドルユーロに次ぐ堂々の2位です。
ドル、ユーロ、円、ポンド、の4通貨ペアを青系の色で着色しました。
この4通貨の取引だけで、世界通貨取引の54%を占めているのですね。
続いて、1日の世界のFX取引金額を見てみます。
世界のFX取引は、一日5088 (10億米ドル) 。これは、5兆ドルを超える大変なお金です。
しかも、これが、一日の取引量です。
一方で、東証の一日の売買代金は、数兆円です。
これが現物株式の取引量になりますので、その数100倍の取引が行われている計算です。
東証の時価総額は、JPX発表値 619,674,025 百万円 (2019年9月末日時点)ですので、
だいたい600兆円です。
東証時価総額とほぼ同じ規模のFX取引が、世界ではたった一日で行われていること
になります。
金融取引では、最大のマーケットといってよいでしょう。
FXトレードで確認すべきは日経平均株価なのか?
さて、東証といえば株式ですが、FX取引をやっている方は、
おそらく大半が、日本の株式市場の指数をみていることと思います。
株式市場全体の上がり下がりを見ながら、FX取引をする。
それは為替と日本の株式市場の関連が深いからです。
多くの場合、ドル高円安にむかうと株式指数は上昇し、
ドル安円高に向かうと株式指数は下落します。
逆もまた真なり。
株式指数が上昇すると円安に向かい、株式指数が下落すると円高に向かいます。
輸出企業、特に機械や自動車が日本は産業構造的に強く、
その大半が輸出で稼いでいるので、円安であればあるほど、
円ベースで見た売り上げが大きくなり、利益も大きくなるため、
株価が上昇するという仕組みです。
ところで、株式指数を見ている人の大半は、日経平均株価をみていることと思います。
「日経平均株価だけ、見ていればFX取引には十分ではないか。」
「別に株式をトレードしているわけでもないし。」
そう思う方は多いでしょう。
しかし、ちょっと待ってください。
株式指数といえば、日経平均株価の他にも、「TOPIX」というものがあります。
さて、ここで質問です。
日経平均株価とTOPIXの違いって、何でしょうか?
…
案外明確に答えられる方は少ないのではないでしょうか?
日経平均株価は、日経新聞社の商標登録があり、日経新聞社が計算して発表しています。
一方のTOPIXは、東証、正確にはJPX社が計算して発表しています。
しかし、これだけでは質問の答えとしては、1%も満たしていません。
日経平均株価は、225社の株価の単純平均を指数化したものです。
225社は、日経新聞社が(一定の基準がありますが)好きに選んでいます。
一方で、TOPIXは東証一部上場企業の時価総額を指数化したものです。
時価総額 = 会社の価値 = 株価 x 発行済み株式数
です。
市場全体の動きと言えば、会社の価値=時価総額の合計が、
昨日よりどれだけ増減したか、ということが最も重要です。
しかし、日経平均株価は、時価総額とは関係なく、
時価総額が小さな会社でも、株価さえ高ければ、
日経平均指数に大きな影響を与えるので、市場全体の動きとは言えないのです。
問題を明確にするために、状況を単純化してみましょう。
1.上場企業は2社(A社,B社) だけ、株価が-10%下落したとします。
A社は、株価5千円、時価総額10兆円、
B社は、株価10万円、時価総額1000億円とします。
A社は、巨大な企業で、世界的な規模で、世界に大きな存在をもっています。
B社は、日本では、そこそこの企業ですが世界に全く影響はありません。
ある日、株価がそれぞれ10%下落し、A社4500円、B社9万円となりました。
2.日経平均株価の計算をすると、
A社B社の株価の単純平均は、 (5000円+10万円)/2 = 105,000/2 = 52,500円
株価が10%下落変化した時の影響度は,52500円に対して、
A社は-500円の1/2 =-250円の寄与 (指数影響度 -0.48%)
B社は-10,000円の1/2=-5000円寄与 (指数影響度 -9.52%)
でB社が圧倒的に影響があります。
3.TOPIXの計算をすると、
時価総額の和は、 10兆円+1000億円= 10兆1000億円
株価が10%下落変化した時の影響度は,10兆1000億円に対して、
A社は-1兆円の寄与 (指数影響度 -9.9%)
B社は-100億円の寄与 (指数影響度 -0.099%)
でA社が圧倒的に影響があります。
日経平均株価では、小さな規模のB社の方が株価が高いので
圧倒的に影響力をもっています。
これはおかしな話ですね。
つまり、日経平均は、市場全体を表す指標とは言えないのです。
ですから、市場全体の動きを見るときは、TOPIXを見るべきです。
FX取引は、日本の通貨としての円と外貨との交換レートですから、
市場全体、つまり、TOPIXをみた方が正確に理解できます。
「日経平均ではなく、TOPIXを見よ」
とにかく覚えて実行する事をおすすめします。
では、なぜ日経平均株価がいつもニュースされ、
TOPIXはネームバリュー的に存在感が薄いのでしょうか?
また、日経平均の利用価値は、どこにあるのでしょうか?
このあたりの疑問については、別の機会にあらためて説明しようと思います。
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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