チャートは視点を変えると景色が全く変わる?

グラフの基本と落とし穴

 

こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。

 

前回、NYダウの超長期のチャート(グラフ)をお見せしました。
これです。

 

 

このグラフの縦軸(Y軸)のスケールは、
0、5千、1万、1万5000…と5000毎にふっています。
横軸(x軸)は日付で、1年毎にふっています。

 

グラフは、このように、同じ間隔ごとに目盛(スケール)をとるのが普通です。

 

しかし、超長期の投資を読む場合、それでは見えなくなるものがあります。

 

このグラフだと、1915年から1985年までの70年に及ぶ変化がまるでわかりません。

 

さて、いま、100(円)あるとしましょう。

 

年間7.5%づつ、増やしてゆくとします。

 

7.5%増えると、1年後の元本利金は、(1+0.075)=1.075倍になります。

 

つまり、来年は100x 1.075=107.5になります。

 

2年後は、その時の元金 107.5に対して、
さらに1.075倍になりますので、

 

107.5 x 1.075= 115.5円になります。

 

この調子で計算すると、10年後は、

 

(1+0.075) ^ 10= 2.06 倍、

 

元本100円に対して、元利金合計206円になります。

 

これを100年続けると、こうなります。

 

 

100年の期間の後半半分くらいから、一気に上昇しているように見えます。

 

その分、100年の期間の前半半分くらいは、
数字が小さいので、変化がわかりづらくなっています。

 

どういった関係で増えているのかも、直感的にわかりづらいですね。

 

そこで、縦軸のスケールの取り方を変えてみます。
まずはご覧ください。

 

 

先程のチャートとは、かなり見え方が変わりますね。

 

100が1000を超えるのは32年後、
1000が10000を超えるのは、やはり32年後です。

 

つまり、32年毎に、10倍になってゆく関係が手に取るようにわかるでしょう。

 

このグラフは、logグラフといいます。

 

毎年、新しい元本に対して同じ成長をする場合、
その成長を直線で見る為のものです。

 

長期で株式の推移を見る時は、縦軸にlogをとると全く別の景色になり、
見晴らしが良くなります。

 

解説はこの辺にしておいて、早速長期のNYダウを、
あらためてこのスケールで見てみましょう。

 

 

最初のグラフと同じ内容を異なる視点で見たことになります。

 

この見方では、1915年から2022年までの変化が、
手に取るようにわかります。

 

大雑把に言って、1929年の下落の後は、
右上がりの一直線ですね。

 

つまり、1929年の暴落の後は、株価はずっと同じように成長してきたんです。

 

1932年から2022年までの90年で700倍になりました。

 

数字で表すと、年平均7.5%の成長をしています。

 

黒い点線は、私が引いたトレンドラインです。

 

この直線の傾きが、年7.5%の成長を示すものです。

 

今後も、NYダウが平均的に進むとすると、今年も6%の成長をします。

 

そんなうまくはいかないだろう、と考える方も多いと思います。

 

でも、NYダウは1970年に1000ドルだったんです。

 

1万ドルに到達するのは夢のように思えたことでしょう。

 

1996年には1万ドルに到達しました。

 

今は3万ドルを超えています。

 

この調子で進むと、あと17年でNYダウは10万ドルになります。

 

長期の予想というのは、こんな感じで、
おおらかに計算すると楽しめますね。

 

このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。

 

では、また次回をお楽しみに!

 

 

マーケットの魔術師 奥村尚