あなたの知らないヘッジファンドの実態
ヘッジファンドとは
こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。
ヘッジファンド(hedge fund)という言葉があります。
ヘッジファンドというと米国に多く存在し、
“あの手この手”で市場を混乱させて一儲けする。
輩ものの集団…みたいな、なんだか得体のしれないイメージがあるような気がします。
でも、その実態は大半の人がよく知らなず、
なんとなくなイメージだけがぼんやりあると思います。
なにしろ、ヘッジファンドの実態は、表に出る機会が少ないですからね。
今回は、このヴェールを少し剥いで、多少なりとも露わにしてみようと思います。
ヘッジファンドは、ファンドのひとつ。簡単にいうと投資信託です。
日本にある投資信託と同じもの、と解釈して差し支えありません。
そして、『ヘッジ』は、リスクヘッジのことです。
リスクヘッジとは、「リスクを軽減するための保険を掛ける」ことですね。
リスク回避ともいわれたりもしますが、実際は
『リスクを大きくとることでリターンを得ることを目的』
とするため、名は体を表していません。
ヘッジファンドが普通の投資信託と異なる最大の要素は、
公募(Public offering)であるか?
私募(Private placement)であるか?
です。(公募が投資信託、私募がヘッジファンド)
公募は、募集人数に制限がありません。
ですから一般メディアにPRし、薄く広く投資を募るのです。
一口単位の投資で、あるいは最低投資額も数千円、数万円から募集を受けます。
野村投信とか、フィデリティなどの大手は、よく聞く運用会社ですね。
私募は、参加人数に制限があります。
これは法律上で決められていることで、米国の場合、
ひとつのファンドにつき99人を上限としています。
そのため、私募の場合、この人数制限の範囲で
極力たくさん資金を集める必要があるので、一人当たりの投資金額も巨額であり、
投資家の参加条件にも大きな違いがあります。
さらに、最低投資額も100万ドル(一般的には)となっています。
現金で100万ドルを投資できる人ですね。最低金額の人はほとんどいません。
当然、一般メディアでは募集を行わず、募集は縁故にほぼ限定されます。
つまり、「金持ちの友達は金持ち理論式」の拡大縁故で募集をかけます。
中には大物が参加していることも稀にあります(元大統領とか)。
さて、どの投資信託も、ファンドマネジャが資金運用しますが、運用には
・資金募集費用
・リサーチ費用
・運用費用
・管理費用
がかかります。
こうしたコストは、公募であろうが私募であろうが同じなのですが、
運用方針が違います。
公募の投資信託は、例えばESG(環境、社会、ガバナンス)をテーマとして
募集したお金は、そのテーマのみに絞って投資します。
実際には、多少違うとしても、少なくとも建前としてはそうなっています。
しかし、私募ではこの建前はありません。
儲かる事をしてさえいれば、別に環境に悪かろうが、社会性が低かろうが、
株ではなく商品先物であろうが、なんにでも投資します。
つまり、運用の自由度も、普通の投資信託とは異なるということです。
さらに、ファンドの運営コストの取り方もかなり異なります。
公募投資信託は儲けても儲けなくても管理報酬をとります。
(ファンドマネジャの運用コストはその中に組み込まれています)
ヘッジファンドの場合、
運用はプロ中のプロが行うので管理費用も高いのですが、
さらに成功報酬の費用が別にチャージされます。
(実現リターンに対し20%をヘッジファンドがとるのが一般です)
ちなみに、米国では、ヘッジファンドを「プライベートエクィティ(private equity)」といいます。
ヘッジファンドよりも、こちらの方が名が体を表していて、わかりやすい表現ですね。
まだまだ、いろいろな話は残っていますが、今回のところはこのあたりで
(まずは)終わりとしておきます。
では、また次回をお楽しみに
(※追補:ヘッジについて)
例えば新興国の証券に投資する時、その証券は確かに上がるかもしれないが
それ以上に現地通貨が下落し、トータルでは損することが良くあります。
こうした場合、通貨の下落分を見込み、あらかじめその通貨を売っておくことで、
通貨が下落しても損しない(この場合はむしろ得をする)ことになりますね。
ここまでは普通のヘッジ。
これをさらに推し進めると、証券とは関係なく、通貨だけを投機的に大量に売る、
ということで巨額の利益を得る事もできます。
100億ドルの英ポンドを売り、一晩で9.6%もの巨額の利益を得たジョージソロスの
“イングランド銀行を負かした男”の伝説はあまりに有名です。
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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