見せ方と見え方
チャートのマジックを使ってみる
こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。
相場は数字です。
数字の列と言っても良いのですが、
それを総合的にビジュアル化するツールとしてグラフがあります。
相場ではチャートと言い換えた方がわかりやすいですね。
このチャート、実は見せ方があります。
最もわかりやすいのが株価なので、日米の代表的な指数である、
NYdowとNK225を長期で比較してみる課題があるとします。
例えば、25年間の比較をすると、こうなります。
ここでは、1996年1月初日から2021年1月初日までを月次でプロットしてみました。
日米の単位はドルと円で異なるので、1996.1.1を100としています。
25年の推移を見ると、NYダウは大きく上げて、
日本はそれに比べると全然ダメに見えますね。
1996年というと、日本は昭和バブルの後遺症ですっかり元気がなくなった時期です。
一方、米国は、従来型の製造業は衰退していたものの、パソコンをLANでつないだ
オフィスオートメーションが普及し事務効率が飛躍していた時期でした。
その後、2000年に近くなると、日米ともにインターネット革命が起こり、
いわゆるニューエコノミーが台頭し経済は一気にネットワーク社会へと移り、
21世紀に突入します。
その後、インターネットによる革命は過度な期待であったと反省があり、
相場は不調、2008年にはリーマンショックがあった為、
相場はさらに低迷を極めました。
しかし、その後は新型コロナウィルスの問題を超えて、
相場的には両国とも好調ですね。
その好調さも、米国の方が、はるかに勢いが大きいように見えます。
これだけを見ると、日本株はダメで、米株は優れている、
と言えるでしょう。
でも本当にそうでしょうか?
実は、見せ方がそうなっているからです。
同じデータを使って、少しだけ短い期間を使うとこうなります。
次にお見せするのは、過去20年間の日米株式の比較です。
これは、推移1で使った株価と全く同じものを、
2001年1月1日初日から力2021年1月初日までを月次でプロットしたものです。
2001年1.1を100としています。
え、全然違う!
25年間を見た先程の図1と、20年間を見た図2では,
まるで別物に見えますね。
20年間の推移を見ると、NYダウは好調ですが、日経平均も同じように好調ですね。
日本も米国にそう劣ってはいない程、
相場は両国とも、好調ですね。
そうなんです。
チャートというのは、設定期間を変えると、結果が別物になります。
マジックのようです。
あまり意識しないで適当に期間を設定すると、
自らマジックにかかってしまう危険性をはらんでいます。
あるいは、相場師がうまいことプレゼンするべく、
何か最初から決めていた結果に必ず落とし込みたいがために、
あえて特殊な期間を設定される可能性もあるでしょう。
こんなこともあるんだ、ということは知っておくと良いかと思います。
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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