自分の最適なトレードサイズを計算で求める
アセットアロケーションとの違いについて
今回は資金運用における、『最適なトレードサイズ』に関するトピックを
取り上げたいと思います。
いわゆる、「アセットアロケーション」と似ているのですが、厳密には異なります。
まず、アセットアロケーションについて説明したいと思います。
アセットアロケーションとは「資産配分」のことです。
アセットとは「資産」、アロケーションとは「配分」という意味を持っています。
例えば、100というお金を運用する時に、その人のリスク許容度
(どれだけのリスクが取れるか)に応じ、
いったいどのくらいの分配で国内資産と海外資産に分けるのがベストか?
を決めることです。
国内資産や海外資産とは、具体的に「株式」、「不動産」、「債券」など。
これらの資産からどれを選び、何を指すのかを、
顧客に合わせて配分する資産配分技術です。
また、具体的に商品を組み合わせたものをポートフォリオといいますね。
一方、最適なトレードサイズというのは、投資資産を既に決めてトレードしている人が、
その投資資産に対して、1回のトレードに使う「資金分配」のことを言います。
しかし、1回のトレードにおける、「最適なトレードサイズ」に、
目安はあるのでしょうか?
この質問には、数学的に正確な答えがあります。
答えの前に、まずは、こんな事例を考えてみましょう。
ジョンLケリー氏の「ケリー基準」
例えば、1億円の資金があるとします。
そして、それを100%株式投資に回すと既に決めている場合、
1回の投資資金をいくらにすると良いでしょうか?
株投資で100万円を投資し、それが200万円にできた場合、
100%のリターンと計算できます。
この結果は素晴らしいことですが、元本が1億円の場合となると、
資金は1億100万円になったにすぎません。
つまり、リターンはたったの「1%」です。
この時、100万円ではなく、1千万円を同じ株式に投資していれば、2千万円になります。
この場合、元本1億円に対して、資金は1億1千万円に増えたことになるので、
「10%」のリターンを期待できたわけです。
さらにいえば、1億円全てを同じ株式に投資していれば、2億円に増やせたはず。
つまり、リターンは「100%」です。
ですが、1回の投資資金を巨額にするということは、
それに比例してロスも大きくなります。
リスクも拡大するため、1回に大きい資金を使いすぎるのも良くないことは、
誰だってわかりますよね。
数式では、あらゆるケースを想定した難しい式で説明できますが、
もっとも簡単なケース、「勝ったら元本が倍、負けたら0」の場合で考えてみましょう。
fを最適な比率として以下のような式が成り立ちます。
「f=2×P-1」
ここで、Pは勝率となります。
これは、ベル研究所の天才数学者、ジョンLケリー氏が考案した数式で、
世界的にケリー基準として知られています。
この数式では、ギャンブルのように、負けると1回の掛け金が0になり、
尚かつ、厳密に勝率を計算できる場合であれば、上記式を使うことで、
そっくりそのまま回答とすることができます。
例えば、勝率0.55(55%)のギャンブルがあったとします。
これを先ほどの式に当てはめると
「f=2×0.55-1=0.1」
0.1=10% となります。
そして、計算の答えによれば、
1回あたり10%の資金を勝負に回すのがベストだと判断することができます。
しかし、実際には、株式は負けても0にならないし、倍にもなりません。
ですから、このまま使える数式ではないのです。
そこで、投資商品を対象に、先物取り引きのコンサルタントであった
ラルフビンス氏が『資金管理大全』で掘り下げました。
彼はこの手法を
『Optimal f (最適f)』
と命名しています。
「Optimal f」は、元本割れというリスクの測定に、
ケリー基準で計算したドローダウンを用いた点で名著と言われています。
ここで、続けて説明すると長くなってしまいますので、
株式投資における具体的な計算や利用の方法は、
次回にでも、お伝えしたいと思います。
↓次回へ続く
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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