目論見書を見るとわかる人にはわかる?
ロードショーとは?
こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。
今回は、普通の人がまず気づかない
あるいは知らない
秘密のポイントを1つ、お伝えします。
先日、ある証券会社が主催するロードショーに招待され、参加してきました。
ん?
鬼滅の刃の映画のことか?
いえ、いえ、違います。
IPO 裏側の仕事に参加した、という事です。
IPOは、Initial Public Offeringの略ですが、
初めて公募される株式、という意味になります。
証券取引所で株式を上場することを意味し、
株式の新規公開と訳されます。
ほとんどの方は、IPOのあとにその会社と付き合うことになります。
でも、機関投資家へは、事前に訪問して、
一連の会社案内を行い、アンケートをとるのです。
このアンケートをとる行為を、ロードショーといいます。
一日数社の機関投資家を訪問し、それを1週間から10日程度、
ロードショーを行います。
一つ一つの機関投資家は、IPOの経営者と機関投資家の1:1の会合を行います。
(証券会社の担当役員なども同席はします)
これをOne-on-One(ワン オン ワン)と業界では呼びます。
先日は、私も機関投資家としてワンオンワンに参加しました。
IPOというのは、少なくとも3年前には準備を開始しています。
最初に行うのは、この2つです
1 主幹事宣言で、付き合う証券会社を1社決め、
2監査法人が「課題抽出調査(ショートレビュー)」を行い、
IPOするために不足する事項や、改善事項の洗い出します。
2年間、会計内容や社内体制を上場を前提にピカピカにします。
労働体制、例えば残業をきちんとつけさせているか、
などもチェックされます。
これを、N-2期監査と言います。
1年前には、上場申請書類を作成し、主幹事証券会社の審査を受け、
監査法人の監査を受けます(N-1期監査)。
IPOする年には、申請書類を証券取引所に提出します。
これを上場申請といいます。
審査には通常2、3ヶ月かかりますが、既に主幹事証券と監査法人が
十分に行っているので、多くの場合、
上場承認がおります。
この承認後に、ロードショーを行うのです。
ロードショーの段階では、上場承認時に目論見書に記載された株価は、
まだ想定価格であり、「仮条件の価格帯」は未確定です。
ロードショーでアンケートが集まると、それをもとに、
主幹事証券が、想定価格の株価を確定させます。
つまり、ロードショー後には、目論見書が訂正されることにもなります。
例えば想定発行価格が、2000円だったとします。
訂正目論見書で、仮条件の価格帯が 1800円-2000円などとなっていたら、
ロードショーでのアンケートは、イマイチ評判が悪く、
仕方ないので募集条件を切り下げたことになります。
機関投資家から厳しい評価を受け、値下げたというわけです。
プロ投資家は評価しなかった、イマイチな株、というわけです。
逆に評判が良ければ、値上げ することもあります。
2016年7月15日に東証一部に上場したLINEもそのひとつでした。
当初の想定価格は2,800円
仮条件の価格帯は2,900~3,300円と値上げされました。
これはつまり、投資家の需要が高く、
ロードショーが上手くいったことになります。
プロ投資家も評価した良い銘柄、ということですね。
LINEの公開価格は、上限いっぱいの3300円、
初値は4900円、現在の株価はその上です。
目論見書をわかる人がみると、こうしたことが、わかるのですね。
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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