株式銘柄の評価方法と戦略の重要性
銘柄選定の方法と投資の考え方
こんにちは、マーケットの魔術師 奥村尚です。
投資を数値で評価する基本的な話をしてみます。
いくら投資して、いくら儲かったか、という話は、
当然に数値で表示できます。
その際、その投資をした意思決定は、何をもとにしたか、
という事は、人ぞれぞれに異なるでしょう。
誰かに教えてもらった、
とか、
自分で新聞を見て閃いた、
とか。
私の場合、意思決定の過程も必ず全てを数字にして、その数字を尺度として、
同じ次元で銘柄をならべ、比較することにしています。
推奨銘柄をフィンテックやAIで解析し偏差値化していますが、そうしたことも、
偏差値が上位で期待リターンが上位のものを選ぶのが
利益を得やすい、という事実に基づいています。
今回は、銘柄のリスクとリターンを事後的に評価することを試して評価します。
日経平均と個別銘柄を比較します。
個別銘柄は全銘柄はとても無理なので、代表的な銘柄を4つ、選びました。
パッと思いついた2銘柄はSONY、日立です。
日本を代表する企業ですから、特に説明は必要ありませんね。
トヨタとか、ファーストリテイリングでもよいのですが、
私が最初に思いついたのがこの2銘柄だったので、これにします。
もう一つ、対象とする銘柄を2つ選びました。
こちらは、11月に、信用取引で大きく売買された銘柄の中から、東証一部で、
かつソニーや日立に匹敵する有名企業を2社、選定しています。
過去1か月のリスクとリターンを計算し、リスクとリターンをプロットしてみました。
横軸がリスク、縦軸がリターンです。
計算方法は、参考までに書いておきますが興味ない人は読み飛ばして結構です。
<参考 リターンは、日次リターンをとっています。
マイナスの値は、損をした取引ということになります。
リスクは、日次リターンの標準偏差をとったもので、マイナスの値をとりません。>
まずは、ご覧ください。
リターンは、マイナスの値をとります。
大きい方が良い銘柄です。
リスクは、マイナスの値はとりません。
小さい方が良い銘柄です。
ソニー、日立、日経平均が、リターンがプラスでした。
しかし、リスクの値は異なっています。
3銘柄でもっともリスクが大きかったのは日立です。
最もリスクが小さかったのは日経平均です。
日経平均と日立を比べると、リスクは3倍日立が大きいのに、リターンは似たようなものでした。
日経平均とSONYを比べると、SONYのリスクは日経平均の倍ですが、リターンも倍です。
つまり、この3銘柄を比較すると、
日立を買う理由がない、
ということです。
なぜなら、日立は日経平均よりリスクが3倍も大きい割には
リターンは同じ程度なので、上手な銘柄選択とはいえない。
ということになります。
(もちろん、事後的にわかることなのですよ,念のため)
一方、日経平均とSONYは微妙です。
SONYは日経平均よりリスクが倍もあるけれど、
リターンも倍あるので、投資する価値がある。
リスク嗜好者はSONYを、リスク回避者は日経平均を、選定するのが
(この)3銘柄の中では得策だったことになるわけです。
さて、残り2銘柄も評価してみましょう。
横軸の数字が、SONYや日立より大きく、
要するにリスクが大きいということがよくわかります。
信用取引で好まれるという事をリスクで数字にすると、
だいたいこうなります。
その割にはリターンがマイナスです。
つまり、この期間買った人は、損をしているということになります。
信用なのだから、売りから入ることもできるわけで、
そうした人は儲かっているのではないか?
はい。その通りです。
特に、Z HDは、マイナスリターンも大きいので、
売り建てると利益が出ていたはずです。
しかし、SONYと比べると、リターンの絶対値の数字はSONYが大きく、
しかも、SONYのリスクはZ HDの半分でした。
したがって、信用取引する場合を考慮すると、Z HDを売り建てるよりも、
SONYを買い建てる方が、リスクが半分で同じリターンを得られたこともわかります。
JALに至っては、今回提示したすべての銘柄の中で最悪の選択です。
リスクは最高、リターンの絶対値は最低。
売っても買っても利益にはなりずらい銘柄であった、ということですね。
これは、銘柄選定という戦略の考え方です。
銘柄選定という戦略を間違えると、戦術(つまり銘柄を上手にトレードすること)が
うまく行っても利益にはなりづらいのです。
なぜなら、どのみちリターンの動きは小さく、しかもリスクが大きいから、です。
戦国時代、無駄に戦争をしかけて負ける殿様と、
上手に隣国と付き合い戦争を避けながらここぞという時にはしっかり戦い勝つ殿様
後者が成功することは想像に難くありません。
戦術より戦略が重要だ、ということです。
むやみやたらに、(なにも考えずに)へたな鉄砲撃ちまくるような殿様にならないようにしましょう。
このブログではみなさんの資産運用のお役に立てる情報として、
金融、為替(FX)関連のマーケット動向や予測なども随時配信していきますので
次回の記事もご期待下さいね。
では、また次回をお楽しみに!
マーケットの魔術師 奥村尚
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